風和通信195号

丹波篠山ツアー出張ピースランド2019  中神隆夫(ピースランド店主)

  飛騨高山から高速道路で約5時間、高架越しの集合住宅、企業の工場、太陽光パネル、ビルの群像、現代文明を形作る人工物を眺めながら到着した丹波篠山は相変わらずの里山風景でぼくたち三人を迎えてくれました。 

1年前も感じたことですが、篠山へ来るとなんともいえない安堵感に包まれます。街道筋に大型チェーン店はなく、町並みには四角いビルもない、懐かしい日本の原風景に近いものが残っているからなのでしょうか。隅々まで都市化され均一な景色が広がってしまったこの国にあって篠山は希少で貴重な所だと思います。

そんな篠山で開かれている「ついたち市」は吹けば飛ぶよな(実際、雨風でタープが飛ばされそうになった)ちっちゃな市ですが、今、この世界で本当に大切な物とは何かを探求している人たちが集い、作っている市だと思いました。 

 昼のライブを終え、夜の部が始まるまでのほんの短い時間、奇跡のようなふたつの出来事がありました。 

本を展示し終えた出張ピースランドの部屋(風和の座敷)で、色鉛筆画家のカメリア―ノ氏が突然ウクレレを弾き始めました。勇介君(一緒に来た仲間)がベースを付け、ぼくはギターを取りだし二人に合わせました。セッションが始まったのです。丁度目の前の壁に「世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はありえない・・・」という宮沢賢治の農民芸術論の言葉を彫った版画作品が飾ってあったので、唄ってみたらぴたりとはまりました。期せずして曲が舞い降りできた瞬間でした。

 

ビールで乾杯し、大人だけで盛り上がっていたところへ、女の子が二人入ってきて、手に取った『ベイビーレボリューション』という絵本を朗読し始めました。「三万人のベイビーが、三十万人のベイビーが・・」少し小さい子に年上の子が読んであげているのですが読むリズムといい、明快な発語といい、あまりにも名調子なので、酔いが回り始めた大人たちも聴き入ってしまいました。一度読み終えたところで大拍手。大人たちの「もう一回読んで!」という声に女の子は応えてくれて、またまた大喜びでした。 

来年のついたち市では、はてさてどんな奇跡が起きるのでしょうか。

*『ベイビーレボリューション』浅井健一・文、奈良美智・絵(クレヨンハウス刊)


もくじ

● 丹波篠山ツアー出張ピースランド2019 中神隆夫(ピースランド店主)

● 7月の予定

● ついたち市出展者の募集

● ついたち市アイディア会議に参加して 梅谷美知子(丹波篠山市地域おこし協力隊)

● 令和元年度NPO法人風和賛助会員、協賛広告よろしくお願いいたします。

● お礼~ありがとうございます~

● ふうわなくらし127 向井千尋

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